仙台とさいたまに除染土、公表4日後の電撃搬入へ 今回は説明会せず
「朝日新聞」より転載
東京電力福島第一原発事故後に福島県内の除染で出た土(除染土)を再生利用するため、国は仙台市で29日に花壇に土を運び込む。環境省が28日に発表した。事前の住民説明会は開かない。国は2022年にも首都圏への搬入を試みたが、説明会後に地元住民の反対で失敗した。計画公表から4日での電撃搬入に「住民への説明を避けている」との批判が出ている。さいたま市でも近く運び込まれる見込みだ。
搬入先は、いずれも国の施設で仙台合同庁舎(仙台市青葉区)とさいたま新都心合同庁舎(さいたま市中央区)。それぞれ約1立方メートルの土を花壇に用いる。仙台は宮城県庁向かいに、さいたまはさいたまスーパーアリーナのそばに立っている。
使うのは、放射性セシウムの濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下の土。鉄板などで遮蔽(しゃへい)した作業員が土の上で1千時間働いても被曝(ひばく)量を公衆の目安である年間1ミリシーベルト以下に抑えられる計算で、国は「人体への影響は無視できるレベル」としている。
地元自治体には数週間前に環境省から説明があったという。石原宏高環境相が25日に計画を公表した直後、両市長や両県の知事らは相次いで会見などで搬入に協力的な姿勢を示した。
一方、国は住民に直接説明する機会は設けなかった。石原環境相は「必要性、安全性について、情報発信やコミュニケーションに取り組む」と述べたが、住民説明会は開催せず、公表から4日後の搬入を決めた。
環境省には苦い経験がある。
2022年、新宿御苑(東京)、環境調査研修所(埼玉)など環境省施設の花壇などで土を利用しようとした。この時は住民説明会も開いたが、反対にあって頓挫した。
その後、国は24年末に官房長官をトップとする会議を設置し、各省が連携して再生利用を進める方針に切り替えた。25年7月以降、首相官邸や霞が関の中央省庁など12カ所で利用実績を作ったうえで、都外での利用先として仙台市とさいたま市を選んだ。
同省の担当者は説明会について、「過去との整合性というより、個別の事業ごとに判断していくもの」と話した。同省は、搬入計画の公表前の3月に除染土をめぐる啓発イベントを両市で開いたことや、霞が関の官庁街などで土を利用した際の測定結果を示すことなどが住民への説明に当たるとの立場だ。
